
目次
糸リフトとは?基本の仕組みと特徴
メスを使わないリフトアップ施術の概要
糸リフトは、皮膚の下に吸収性の「コグ(棘)」付き糸などを通し、物理的な牽引とコラーゲン産生(創傷治癒)を同時にねらうメスを使わないリフトアップです。
局所麻酔で行われ、施術時間はおおむね1時間前後。結果はその場で持ち上がりを実感しやすく、日常生活への復帰も比較的早いのが特徴です。
使用する糸の種類(PDO・PCL・PLLAなど)と特性
糸リフトで用いられる代表的な素材には、PDO・PLLA・PCLがあります。
PDO(ポリジオキサノン)は医療用吸収糸として長年使われてきた素材で、吸収はおおむね4〜6か月。吸収されていく過程でコラーゲン産生を促す性質があり、しっかり引き上げる「コグ(棘)付き」タイプと、肌質改善をねらう「スムース(モノフィラメント)」タイプといった形状が存在します。
PLLA(ポリL乳酸)はいわゆるバイオスティミュレーターとして知られ、コラーゲン生成の寄与が比較的強いのが特徴で、持続は12〜18か月程度とする説がある一方、18〜24か月とするレビューもあり、文献によって幅があります。
PCL(ポリカプロラクトン)は柔軟性と弾性に優れ、ゆっくりと約12〜18か月(1〜1.5年)かけて吸収されると報告されており、ハリ感の持続や質感の向上を狙いやすい素材です。
他のリフト施術との違い(切開リフトとの比較)
糸リフトは最小限の施術で「さりげない持ち上げ」をねらう施術であるのに対し、外科的な切開リフト(フェイスリフト)は余剰皮膚の処理や広範な固定ができ、より大きな変化に対応できます。ダウンタイムは、糸リフトなら腫れや内出血が出ても1週間程度で落ち着くことが多く仕事復帰が早い一方、切開リフトでは回復に比較的長い期間を要するのが一般的です。
持続期間については、糸リフトは通常1〜3年程度の改善が目安とされるのに対し、切開リフトはより長期(〜10年程度)の持続が期待できます。キズ跡に関しても、糸リフトは主に穿刺点のみで目立ちにくいのに比べ、切開リフトでは耳周囲などに長めの切開線が残ります。なお、いずれの施術でも体質や皮膚の状態、術式、術者の方針によって結果や経過には個人差があります。
糸リフトのメリット
即効性がありダウンタイムが短い
糸が組織に「引っかかる」ことで機械的な支持がすぐに生まれるため、鏡を見たその瞬間からリフト感を実感しやすいのが最大の利点です。局所麻酔下で短時間に行えるケースが多く、術直後はむくみや軽い内出血があっても多くは数日〜1週間ほどで落ち着きます。
メイクや洗顔の再開までの日数についてはクリニックにより若干の差はあるものの、在宅ワークや軽作業であれば当日〜翌日から復帰できる方も少なくありません。「休みが取りづらい」「イベントまで時間がない」といったニーズに対して、比較的タイトなスケジュールでも組み込みやすい即効性×短期回復が魅力です。糸の走行や牽引ベクトルを設計しやすいことから、口元やフェイスラインなどポイントを絞った微調整にも向いています。
傷跡が目立ちにくい
基本的に専門の器具を用いて小さな穿刺点からアプローチするため、耳周囲まで大きく切開する外科的フェイスリフトに比べて、皮膚表面の負担や瘢痕の懸念が抑えられます。穿刺部は点状で髪の生え際や耳前の陰に隠れることが多く、経過とともに色調が周囲になじみやすいのもメリットです。
糸リフトの挿入部位は縫合しませんので抜糸は不要で、マスク・メガネ・前髪などの日常的なアイテムでさらに自然にカモフラージュできます。写真写りや近距離での印象を大きく崩さずに変化を出せるため、仕事や学校、子育てで長期休暇を取りにくい方にも選ばれています。
コラーゲン生成による肌質改善効果
糸リフトは、糸を入れることで肌の修復反応が起こり、コラーゲンが増えるよう働きかけます。その結果、たるみの引き上げだけでなく、時間とともにハリ感が出たり、小ジワや毛穴の目立ちが改善されたりと、肌質そのものの向上が期待できます。
糸の素材や形状、挿入する層の違いによって効果の強さや持続期間が変わるため、目的に合わせて選べるのも特徴です。リフト効果を維持しながら肌の土台を整えていくことで、より自然で若々しい印象を目指せます。ただし、効果の出方や回復の早さには個人差があるため、医師と相談しながらデザインを決めることが大切です。
糸リフトの主なデメリット・リスク
効果の持続期間に限界がある
糸リフトは、皮下に入れた吸収性の糸が組織を支えることでリフトさせる治療です。時間がたつと糸は体内で少しずつ溶けていくため、持ち上がり感はゆっくり弱まります。専門家のまとめでも、長期間にわたる確実な効果を示すデータはまだ十分とはいえず、「直後の変化ははっきり感じやすいが、長期のエビデンスは少なめ」とされています。
実際の現場では、効果の体感はおよそ1〜3年が目安と説明されることが多く、定期的なメンテナンスが前提になりやすい施術です。なお、「糸をたくさん入れれば長持ちする」とは限らず、本数を増やしても長期の持続が延びにくかったという報告もあります。
重度のたるみに対して効果が出にくい
糸リフトが得意なのは、軽度〜中等度のたるみです。フェイスラインの軽いもたつきや、ほうれい線の初期変化などには相性がよい一方で、余剰皮膚が多い、下垂が強いといった重ためのたるみでは改善が限定的になります。
皮膚そのものを切って余りを処理できる外科的な切開リフトに比べると、変化の大きさや持続はどうしても劣ります。「糸でできること/できないこと」を正しく理解し、無理に糸で強い引き上げを狙うのではなく、必要に応じて別の治療も選択肢に入れて検討することが大切です。
左右非対称や不自然な仕上がりになるリスク
糸の入れる深さや方向、固定する位置、本数、そして術者の設計・技量によって仕上がりは大きく変わります。条件が合わないと、左右差が出る、小さな凹みができる、輪郭がガタつく、糸が触れる・見える、まれに露出するといったトラブルが起こりえます。
いずれも必ず起きるわけではありませんが、「経験のある医師」による「丁寧な設計」によって、これらのリスクは下げやすくなるでしょう。
ダウンタイムに伴う腫れ・内出血・痛みの可能性
ダウンタイムの出方には個人差がありますが、腫れ・内出血・押すと痛い感じは一般的に数日〜2週間ほどで落ち着きます。多くのクリニックでも「腫れ・内出血はおおむね5日前後で目立ちにくくなる」といった目安が案内されていますが、まれに血管のトラブルなどがあると2〜4週間と長引くケースもあります。
大事な撮影や対面の予定は2週間ほど先に置く、無理な運動や長風呂・サウナ・飲酒は医師の許可が出るまで控える、頭を高くして休む、こすらない・圧迫しないといった基本ケアで回復はぐっとスムーズになります。
万一、痛みが強い、発熱が続く、視力の異常を感じるなど“いつもと違う”症状があれば、自己判断をせず早めに医療機関へ連絡してください。
糸リフトが向いている人・向いていない人の特徴
向いている人:軽度のたるみ・柔らかい皮膚・適度な皮下脂肪のある方
糸リフトが適しているのは、たるみが軽度〜中等度で、「フェイスラインの軽いもたつき」や「ほうれい線の初期変化」を早めに整えたい方です。皮膚の弾力がまだ残っており、薄すぎず硬すぎない質感で、適度な皮下脂肪と組織の可動性があると、糸のコグ(棘)がしっかり組織を捉えやすく、自然な仕上がりになりやすくなります。
ダウンタイムを短く抑えたい、切開は避けたいが「手軽に輪郭を少し整えたい」という方とも相性が良い施術です。
向いていない人:重度なたるみ・皮下脂肪が極端に少ない方
結論、糸リフトに向いていないという人は、『基本的には』いません。重度のたるみがあっても、効果はマイルドながら糸リフトで変化はあります。
脂肪が多めの方であっても、最近ではテスリフトやモールディングコグなど、脂肪層に厚みのある方むけの糸リフトも登場しておりまして、しっかりと効果を得ることが可能です。
治療部位の感染・炎症がある方、出血傾向が強い方、妊娠・授乳中の方、ケロイド体質の方、スレッド素材へのアレルギーが疑われる方などは避けるべきとされます。
糸リフトを続けるとどうなる?継続のメリットと注意点
定期的な施術でたるみの進行を抑えやすい
糸リフトは、入れた糸が顔の土台を支えることでたるみを軽減し、さらにコラーゲン生成を促すことで肌のハリを保ちやすくする治療です。とくに加齢の初期〜中期には、輪郭のゆるみをゆるやかに進行させにくくする効果が期待できます。
定期的に施術を受けることで「たるみの進行を抑える」サポートとなります。ただ、効果の持続期間には個人差があるため、年齢や肌質・脂肪量などを考慮しつつ、医師と相談しながら施術の継続や間隔を決めていくことが重要です。
唯一のデメリット? ディンプルが気になる
糸リフトはフェイスリフトと違って皮膚を切除しません。つまり、皮膚の表面積は同じままで、一部のみが引きあがるわけなので、どこかに皮膚の寄れが生じる可能性があります。(ディンプルと言います)。時間経過で気にならなくなることがほとんどなのですが、人によっては気になることもあります。
ですが、糸リフトは大きな合併症がほとんどなく、効果を素早く感じることができ、手術時間も短く、費用面でもそこまでご負担がないので、
非常に良い手術だと思っています。
後悔しないための選び方と対策ポイント
信頼できるクリニック・医師を選ぶコツ
糸リフトを受ける際は、まずホームページや各種SNS等で、どの程度経験があるかをしっかり確認しましょう。
次に、カウンセリングでの説明の質を見極めるのが重要です。糸リフトの効果や限界、持続の個人差を正直に伝え、必要に応じて他の治療法も提案してくれる医師が望ましいでしょう。
また、使用する糸や手技の透明性も大切です。糸の種類やブランド、適応部位、リスクや術後ケアについて具体的に説明してくれるかを確認してください。最後に、衛生・安全体制もチェックポイントです。清潔な環境で施術され、万が一の合併症にも対応できる体制が整っているかを必ず確認しましょう。
将来的な治療計画を見据えた施術の選び方
糸の本数や頻度、併用治療の順序も将来の選択肢を狭めないように設計しましょう。重度のたるみや余剰皮膚が多い場合は外科手術が合理的なこともありますが、軽度〜中等度のたるみでダウンタイムを抑えたい方には糸リフトを中心とした段階的メンテナンスが適しています。目的や状態、予算を総合して最適な治療計画を立てることが重要です。
他の美容医療との併用や全体的なエイジングケア戦略
糸リフトは単独でも効果がありますが、表情じわにはボトックス、ボリューム不足にはフィラー(ヒアルロン酸や脂肪注入)などを組み合わせることで、より自然で立体的な若見えを目指せます。併用の可否や間隔は症状や施術内容によって異なるため、必ず医師のプランに従うことが大切です。
紫外線対策・体重管理・姿勢や咀嚼癖の見直し・睡眠や栄養など、生活習慣とスキンケアの基盤を整えることも欠かせません。治療と日常ケアをバランスよく組み合わせることが、長期的な満足度につながります。
まとめ|糸リフトのリスクは理解して、賢く活用しよう
糸リフトは「軽度〜中等度のたるみ」を最小限のダウンタイムで整えるのに適した選択肢です。医師の十分な適応判断と説明、使用糸・手技の透明性、将来計画(外科治療の可能性や併用設計)まで含めた相談が、満足度向上につながります。
高い糸を勧めたり、多くの本数を勧めてくるクリニックが多いなか、
当院では無理に高いプランをごり押ししたり、アップセル営業をしたり、ということはしておりません。
その方のご予算や目標に応じて、最適なプランを何個かご提案させて頂いております。
ご安心ください。